SARS-CoV-2の本態は肺病変じゃなくて、血管病変かもよという話。

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緊急事態宣言が解除されて日本では若干落ち着いてきたような印象もあるSARS-CoV-2ですが、とても面白い記事を見つけたので紹介します。

Medium の”Coronavirus May Be a Blood Vessel Disease, Which Explains Everything”という記事からなのですが、ちゃんとした論文の紹介記事になっています。記事が優秀なので、そのまま読んでくれれば良いのですが、自分のoutputのため、忙しい先生方の時間短縮の為ザクッと要約&感想を書きます。

今回の記事のもとになっている論文はLANCET ”Endothelial cell infection and endotheliitis in COVID-19”という論文です。

この論文を超ザックと要約すると、COVID-19がangiotensin converting enzyme 2 (ACE2) receptorを血管内皮細胞に侵入、炎症を引き起こし血栓を作り出しているのでは、という内容になっております。

この論文の背景としてSARS-CoV-2の死因の40%ぐらいが循環器疾患に関連してるとから、SARS-CoV-2の若者の死因としてstrokeによるものがあるというのが知られておりました。が、個人的には人が死ぬときには循環器の異常がでてくるものだし、若者のstrokeといってもhigh risk バリバリの人がSARS-CoV-2を契機にhomeostasisを崩して発症しただけなんじゃないの?ぐらいに考えておりました。

が、上のLANCETの論文によるとCOVID-19が血管内皮細胞に侵入して炎症&血栓が起きているのはマジっぽいです。さらにその話を裏付けるような論文が先週のNJMにでました。タイトルは”Pulmonary Vascular Endothelialitis, Thrombosis, and Angiogenesis in Covid-19”です。

この論文はSARS-CoV-2感染症で亡くなった患者さんの肺7つと、HINI(いわゆるふつーのインフルエンザ)でacute respiratory distress syndrome (ARDS)の症状を呈して亡くなった患者さんの肺7つとも比べて顕微鏡で所見を調べたよという話になっています。

結論から言うと、この2郡の所見は全く異なっていて、HINIで亡くなった患者さんは血管周囲へのT-cell 浸潤を伴う、 diffuse alveolar damageの像を呈していたと。一方、SARS-CoV-2で亡くなった患者さんの像は全く異なっていて、血管内皮へのウイルスの浸潤とそれが原因と思われる血管内皮細胞の細胞膜崩壊が認められました。さらにH1NIの9倍の血栓が認められ、2.7倍の新生血管の増生が認められたということです。

もしかして、専門外の人も読んでくれているかもなので例のごとく荒く要約すると、SARS-CoV-2で亡くなった人の肺の”血管”が壊れまくっていて、詰まりまくっていたよーという報告なのです。

これはとても面白いかつ事実にかなり近いのではないかと思っています。肺の症状が全面にでてくるし、そもそも市中の感染症なのでなんとなく肺の病気なんや!と我々は思い込んでいたのですが、これは間違いだったのかもしれません。初期は肺の感染症だったとしても、最終的に血管内皮への感染が致死的な症状の引き金になっている可能性があり、そう考えると色んなことに納得が行きます。

具体的には、急に症状が悪化すること、sttokeを初めとして循環器疾患の合併が多いこと(血管内皮に感染、内皮細胞が崩壊血栓がバンバン飛んでくイメージ)、呼吸器につないでもコントロールがつかない症例があること(血管詰まってガス交換能が落ちているので呼吸をコントロールしても効果は劇的じゃない)、奇妙な間質性肺炎の像を画像上示すことなどです。

別のNJMの論文 ”Cardiovascular Disease, Drug Therapy, and Mortality in Covid-19”ではACEやARB(どちらも超一般的な高血圧の薬です)の内服が病院死のリスクをあげていないことが報告されています(飲んでいることは、当然高血圧の基礎疾患があるので飲んでることがリスクになっているのでは?という予想が成り立つのです)。ここで、興味深いのがACEとARBでは差がついていることです。上のLANCETの論文と合わせると考えると血管の状態のコントロール以上にもしかしたらCOVID-19の血管内皮への侵入をACEが防いでくれいるのやもと考えてしまいました。 注1)

このNJMの論文の結論としてACEとstatinはbetterな予後と相関しているっぽいけどRandom化比較試験では当然ないので取り扱いには十分注意してねと締めくくられております。 注1)

個人的には、t−PAみたいな過激なものはともかくACEとstatin(と場合によってはAPD)は副作用は重いものではないので飲んでもらっても良いのかなと思いました。 注1)

皆さんのご意見をお待ちしておりますー

注)1 NJMのこの論文ですが、まさかの撤回になりました。NJMで撤回…どうなってるんや…

赤い…赤い画像がなかったんや。わかってくれ。

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